【35回】MIRO ITO発 メディア=アート+メッセージ No.30:聖武天皇が大仏造立に込められた願い 「動物も植物もすべてのものが栄える世の中のために」

スペイン・サラマンカ大学にて、東大寺国宝写真展「光と希望のみち」(by MIRO ITO)が9月29日より始まりました(12月18日まで)。2016年5月にニューヨーク国連本部で開催されて以来、11カ国13箇所目の巡回地となりました。

サラマンカ大学日西文化センター (Centro Cultural Hispano-Japonés) が置かれる
「サンボアール宮 (Palacio de San Boal)」

本展覧会のメッセージは、「万物が互いに関わり合い、すべてが一つにつながっている」という、華厳思想の包括的な世界観です。今からおよそ1300年前、地震や飢饉に見舞われ、疫病の蔓延した国難の時代に、聖武天皇は華厳の教えに基づいて国民を一つにするために、743年に大仏造立の詔を発令されました。

「一枝の草 一握りの土を持ちて 像を助け造らん」という聖武天皇の呼びかけによって、当時、およそ500万人の日本国民のうち 延べ260万人が大仏造立に参加しました。

パンフレット:‘Camino de Luz y Esperanza: Tesoros Nacionales del Templo Tōdai-ji por Miro Ito
(Road of Light and Hope: National Treasures of Tōdai-ji Temple by Miro Ito)

世界で唯一上皇妃の名前を冠することを許された「美智子さまホール」: 盧舎那仏と蓮弁・線刻蓮華像世界図および大連弁(中央の3作品)

東西の交流の歴史を紐解く 秘仏の国宝から重要文化財まで

本展覧会のもう一つの焦点は、東西交流の歴史を紐解き、東西・南北の文化の共通項をあぶり出すことです。

「盛唐」と呼ばれた玄宗皇帝の治世を中心とする唐代の黄金期(712年〜765年まで)には、長安の都には、シルクロードを通じた交易により、かつてないほどの国際色豊かな文化が花開きました。その国際性と多様性の粋が、日本の都であった平城京(710~794年)にもたらされました。奈良は今日において、海を隔てた長安(西安)とともに、「シルクロード最東の終着地」として知られています。

戒壇堂四天王像と法華堂内陣 (右手奥)

法華堂 秘仏・執金剛神像(12月16日のみ公開)と伝月光(帝釈天)像

パンフレットより(法華堂内陣)

本展覧会では、東西の美の極みの交流の接点として、東大寺からの特別の許可を得て撮影した、8世紀の国宝の仏像群を中心に紹介しています。ヘラクレスを起源とする法華堂の秘仏・執金剛神像やギリシア古典様式の写実表現を踏襲する、戒壇堂の四天王像、また伝日光・伝月光像(帝釈天・梵天像)など、奈良時代の塑像の傑作群をご鑑賞いただけます。

また法華堂不空羂索観音像も、シヴァ神との関連からヘラクレスにつながる説が、古代ギリシアの歴史家によって、指摘されています。

東大寺ミュージアム千手観音像(左端)と千手堂の秘仏・千手観音像

美智子さまホールを恭しく彩る 東大寺の国宝仏像群

そのほか東大寺四月堂本尊の十一面観音像や、東大寺ミュージアムと千手堂の秘仏・千手観音像も、写真作品として比類なき花を添えています。

パンフレットより(左上から:千手堂千手観音像、四月堂十一面観音像、伝月光菩薩像、左下から:伎楽面酔胡従、蓮弁・線刻蓮華像世界図、戒壇堂四天王増長天像)

さらにオアシスロード沿いの芸能や民俗を集成した東大寺の伎楽面(8世紀)を紹介するほか、海のシルクロード沿いの王朝芸能を集めた舞楽面は、春日大社所蔵の12世紀のものです。両者はユネスコ世界文化遺産「古都奈良の文化財」の一部を構成しています。

東大寺伎楽面(右)と春日大社舞楽面(左)

この度のサラマンカでの開催にあたっては、大安寺の奈良時代の一木造りの彫刻(不空羂索観音像、秘仏・馬頭観音像)や聖林寺が所蔵する8世紀の国宝十一面観音像(木心乾漆像・大御輪寺旧蔵)も新たに展示に加わりました。さらに会場では、MIRO ITOによる新作の映像作品「東大寺盧舎那大仏〜宇宙のいのちと叡智の光」(スペイン語版)が上映されています。

MIRO ITOによる新作の映像作品「東大寺盧舎那大仏〜宇宙のいのちと叡智の光」(スペイン語版)を上映

左から:大安寺木彫(不空羂索観音像と秘仏・馬頭観音像)と聖林寺十一面観音像、東大寺四月堂十一面観音像

挨拶をするMIRO ITO(通訳は杉山千尋・日西文化センター文化アドバイザー)

会見前の写真撮影(左から:武田国際交流基金マドリード所長、フローレス教授・日西文化センター館長、マルチネツ教授・サラマンカ大学副学長、MIRO ITO)

開幕式

9月29日の開幕式では、フォローレス館長、私(MIRO ITO)、サラマンカ大学マルチダス副学長の挨拶が披瀝されました。国際交流基金マドリード事務所の武田康孝所長も列席されました。また会場には、山内弘志・駐スペイン日本大使にもお越しいただきました。

展覧会は12月18日までです。詳細は以下をご覧ください。

サラマンカ大学日西文化センター (Centro Cultural Hispano-Japonés).

https://www.centrojapones.es/exposicion-camino-de-luz-y-esperanza-202609/

国際交流基金マドリード事務所 (FUNDACIÓN JAPÓN MADRID)

https://md.jpf.go.jp/es/Actividades/Eventos-organizados-por-otras-instituciones/evento/400/camino-de-luz-y-esperanza-202609291218

 

主催:サラマンカ大学日西文化センター

共催:メディアアートリーグ、日本カメラ財団

企画・制作:メディアアートリーグ+本物の日本遺産イニシアティブ

写真・文・監督:MIRO ITO

英語編集:Andreas Boettcher

スペイン語編集:サラマンカ大学日西文化センター

撮影協力:東大寺、春日大社、大安寺、聖林寺、奈良国立博物館

後援:在スペイン日本大使館、国際交流基金マドリード

軸装:佐河太心

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