【26回】MIRO ITO発 メディア=アート+メッセージ No.24 —華厳の哲学を元に、北極星のように、光を見続けていく

去る2月25日、日比谷図書文化館コンベンションホール「時空を超えた 共生共創」(主催:日本アジア共同体文化協力機構JACCCO、日中平和友好条約締結45周年)の講演イベントは、多くの方々のご参加をいただき、無事に終了いたしました。

福田康夫元総理大臣(JACCCO会長)のご挨拶の後、メインのテーマである華厳思想について、円覚寺管長の横田南嶺老師からのお話を受けて、東大寺盧舎那仏および華厳哲学について、小映像作品の上映と解説をさせていただく機会に恵まれ、この20年のまとめをさせていただくことができました。

映像作品「大仏さまは生きている」(監修・撮影協力:東大寺、監督・撮影・文 by MIRO ITO)

宇宙の光の図像

華厳思想で説かれるのは、「宇宙のすべての現象は相互に不可欠に関係し合っている」という「縁起」(因縁生起—pratītyasamutpāda)の哲学であり、その本質には、存在するものすべての一体性・相即性のことわりがあります。

植物と動物、小石と惑星、原子と太陽系、人と世界、宇宙と己_まさにひとつがすべてであり、すべてがひとつである、と説かれています。

Photo: NASA

分子で構成されたタンポポの胞子モデル
Image: Anna Chesnokova/iStock by Getty Images

そして悟りを啓いた釈迦が盧舎那仏自身であり、東大寺盧舎那仏の台座の蓮華の花弁には、釈迦が2500年前にイメージした壮大な宇宙の姿が刻まれています。

盧舎那仏に図像化された、瞑想による自己変容のドラマと、最先端の宇宙論に通じる叡智について、映像作品や写真を活用しながら、解説させていただきました。

東大寺盧舎那仏 線刻蓮華蔵世界図 国宝 8世紀 (Photo by Miro Ito 撮影協力:東大寺)

混迷の時代をどう生きるか

後半では、横田老師と私に、JACCOの宮本雄二理事長・元中国大使や瀬口清之理事を交えたパネルディスカッションも、行われました。

混迷を極める世界において「いかに生きるべきか」という問いかけに対しては、現実を見据えながらも理想を決して失うことなく、華厳哲学を元に、北極星のように、光を見続けていく必要性について意見が一致しました。

宗教、哲学、政治と外交など、さまざまな立場から意見を述べあう、有意義な場となりました。

「時空を超えた共生共創」(写真:JACCCO)

新しい出発点

これまで、東大寺や盧舎那仏についての作品上映や展覧会は、NY国連本部やストラスブールの欧州評議会、メキシコ国立世界文化博物館やギリシャ国立ビザンチン&キリスト教美術館等をはじめとする、世界の多くの場所で行わせていただいてまいりましたが、この講演会は、次の20年の新しい出発点となりました。

2016年欧州評議会オブザーバー20周年記念式典・展覧会「光と希望のみち」オープニングイベントでのスピーチ(左からMIRO ITO、清水信介オブザーバー大使、欧州評議会ヤークラン事務局長)

世界の連帯に向けて発信を企図してまいりました、長年の構想である華厳哲学についての新しい映像作品につきましても、本年は実現に向けて歩みだしたく、その第一歩が踏み出せたと思っております。

多くの方々からのご支援に心から厚く御礼申し上げつつ、これまでの20年の上に、次の20年を築き上げてまいりたい所存です。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2024年3月3日

MIRO ITO 伊藤みろ

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