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#聖徳太子

【第20回】MIRO ITO発:メディア=アート+メッセージ No.19 国のはじまりの奈良ー聖徳太子・聖武天皇「日本の二人の聖人」から大和四寺「花巡礼」まで (by Miro Ito)

2021-10-21

【ご挨拶】

2021年の奈良大菊人形展(10月30日~11月7日・奈良公園バスターミナル会場)開催にちなみ、記念講演をさせていただく運びとなりました。

本年の菊人形展は「聖徳太子没後1400年」をテーマに、聖徳太子と推古天皇、蘇我馬子など、聖徳太子と関わりのあった人物の菊人形が展示されます。

また同日に始まる本年の正倉院展(10月30日~11月15日、奈良国立博物館)のテーマは大仏造立です。752年の大仏開眼法要において、東大寺に献納された品々がまとまって出陳されます。

これら「聖徳太子1400年御遠忌」と大仏開眼供養会にちなんだ正倉院展を記念し、聖徳太子と聖武天皇の偉業に見られる「普遍のこころ」をテーマに、映像上映ならびに解説をさせていただきます。

 

映像詩「いまに生きる奈良」(製作:いかす・なら地域協議会、監督・撮影・文:Miro Ito)より

 

日本の二人の聖人 世界的な視点から見つめる偉業

私にとっての「心のすみか」である奈良の世界遺産・国宝・宗教行事を取材し始めて16年以上が経過し、奈良に始まる日本の精神文化を海外に発信する国際文化事業を、ライフワークとして、手掛けさせていただいてまいりました。

かつてNYで体験した「9.11同時多発テロ事件」を契機に、混迷に向かう世界への答えを求めた時、日本の1400年の神仏習合の伝統にたどり着きました。それ以来、日本の二人の聖人、聖徳太子と聖武天皇の偉業を取材し、多くの先生がたから学ばせていただきました。

世界的な視野から「聖人」と呼ぶにふさわしいお二人の業績を、微力ではございますが、二つの映像作品を通してご紹介しながら、解説をさせていただきたいと存じます。

「国のはじまりの地・奈良」へお出かけの際は、ぜひ足をお運びください。

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奈良菊人形展~国のはじまりの地・奈良~記念講演

「日本の二人の聖人 聖徳太子と聖武天皇~時を超える普遍のこころ」

講師:MIRO ITO (伊藤みろ)

主催:文化庁、日本芸術文化振興会、奈良県

日時:2021年10月30日(土)午後17:00~18:20

場所:奈良公園バスターミナル レクチャーホール

定員:150人(参加無料、先着順)

お申し込み: www.asahi-family.com/miro/

お問い合わせ:「普遍のこころ講演会」事務局 (Tel:06-6201-0638/平日10:00-16:00)

協力:いかす・なら地域協議会、法隆寺、東大寺

【プログラム】

❶ 映像詩「いまに生きる奈良」(前半) :  聖徳太子から鑑真和上の来日まで

❷ 解説

❸ 映像詩「大仏さまは生きている」

❹ 映像詩「いまに生きる奈良」(後半) :  南都六大寺と春日大社 シルクロード交流の証

 

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【同時開催写真展】

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「大和四寺 みほとけを荘厳する花景観 

長谷寺~室生寺~岡寺~安倍文殊院 Photo by Miro Ito」

期間:2021年10月30日~11月7日

場所:奈良公園バスターミナル 1Fギャラリー

主催:奈良県

協力:奈良大和四寺巡礼の会(長谷寺、室生寺、岡寺、安倍文殊院)

奈良県ビジターズビューロー

機材協力:キヤノンマーケティングジャパン

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長谷寺の桜 東側から本堂を望む

 

菊人形展と同時開催にて、疫病退散祈願の聖地である大和四寺における「みほとけを荘厳する花景観」をテーマにした写真展を、2021年10月30日から11月7日まで、奈良公園バスターミナル1Fで開かせていただきます。

奈良県中央部に位置する長谷寺・室生寺・岡寺・安倍文殊院の「大和四寺(やまとよじ)」は、いずれも1200年以上の歴史を誇る古刹です。

日本の曙の地である奈良県中央部には、かつて磐余(いわれ)・泊瀬朝倉・飛鳥・藤原京といった都が置かれ、古来「国中(くんなか)」と呼ばれていました。

そこは美しい自然全体が季節ごとに色とりどりに開花・紅葉し、極楽浄土にも比せられる、豪奢な花景観を見せています。

山々に囲まれた長谷寺・室生寺は、ほとばしる自然の輝きが季節ごとに、豊かな色彩の交響曲を奏でる別世界です。

長谷寺が日本最大級の観音様の「観音霊場」ならば、深い山奥に鎮座する室生寺は、女人禁制の高野山に対して「女人高野」として知られる聖地です。

「日本最古の厄除け寺」岡寺では、桜や石楠花で埋め尽くされた参道から、飛鳥の山々が一望でき、古代日本人の思いと出合うことができます。

また「日本三大文殊の一つ」安倍文殊院は、桜の名所・桜井にあり、春には桜、秋には満開の秋桜が荘厳する別世界となります。

岡寺 春の飛鳥を借景する枯山水

 

それぞれ花そのものが、みほとけの慈愛の賜物であることが感じられます。

大和四寺は、古くからの疫病退散の巡礼地として、治癒を求める参拝客が全国から訪れていますが、コロナ禍の収束への願いを込めて、ご案内させてくださいませ。

奈良公園バスターミナル屋上の菊人形展と併せて、ご鑑賞くださいませ。

令和3年10月吉日

MIRO ITO 伊藤みろ

Photo & Text by Miro Ito. All rights reserved.

 

【第12回】伊藤みろ発:メディア=アート+メッセージ No.11「トロントからリオへ:平和への祈りと巨像の道」

2018-08-20

(Mês do Japão 2018 フライヤー)

トロントからリオへー平和への祈りと巨像の道

残暑お見舞申し上げます。

本年は、長崎の平和祈念式典に、国連のグテレス事務総長が初めて参列し、核なき世界平和への祈りが、国境を越えてさらに広がることが願われました。

私自身、マザーテレサが毎日唱えていたという「フランシスコの平和への祈り」を厳かに反芻しました。自らを「平和の道具」とならしめるための、祈りのことばです。

主よ、わたしをあなたの平和の道具としてください。 

憎しみのある所に、愛を置かせてください。

侮辱のある所に、許しを置かせてください。

分裂のある所に、和合を置かせてください。

誤りのある所に、真実を置かせてください。

疑いのある所に、信頼を置かせてください。

絶望のある所に、希望を置かせてください。

闇のある所に、あなたの光を置かせてください。

悲しみのある所に、喜びを置かせてください。

… … … …    … … … …

(以下続く[*])

さて、6月のトロント日系文化会館でキックオフとなった新しい世界巡回展「隠し身のしるし (Signs of the Intangible) 」に続き、7月には外務省の招待により「ブラジル日系移民110周年記念事業」のため、トロントからリオデジャネイロを訪問しました。

中央郵便局の歴史的な建物が文化センターとなった「リオ郵便局文化センター (Centro Cultural Correios) 」を会場に、「日本月間 (Mês do Japão)」が行われ、私は、5カ国6都市目の展示となった世界巡回展「光と希望のみち(Road of Light and Hope) 」を開催させていただきました(共催:リオデジャネイロ日本国総領事館、国際交流基金、日伯文化協会、メディアアートリーグ、日本カメラ財団、後援:郵便局文化センター、110周年記念委員会、日本ユネスコ協会連盟、奈良県ビジターズビューロー)。

リオの「日本月間」は、ブラジル三大紙聞の一つ「Segundo Caderno」紙で大きく取り上げられ、オープニングイベントには、合計300人くらいの方々にお集まりいただきました。

東大寺や春日大社、奈良国立博物館の特別協力のもと、7年がかりで撮り下ろした極めて貴重な奈良の国宝・重要文化財を紹介する写真作品シリーズを前に、星野芳隆総領事、日伯文化協会会長、郵便文化センター館長からご挨拶をいただきました。その後、私のショートレクチャー&映像上映に加え、私自身が芸術監督を務め、伎楽をバレエとして復活させた「伎楽バレエ」 (踊り手:春双) も、会場に華を添えてくれました。

このイベント「日本月間(Mês do Japão)」へは、7月4日から29日までの3週間半の間に、6万2000人が訪れてくださいました。

 

二つの巨像

さてリオデジャネイロといえば、標高710mの「コルコバードの丘 (Morro do Corcovado)」の上に、両手を広げて聳え立つ「キリスト像 (Cristo Redentor)」が有名です。

奈良の大仏さまが”復興”のシンボルならば、リオのキリスト像は”独立”のシンボルです。歴史を紐解くと、かつての宗主国ポルトガルは、ナポレオンの侵攻により1808年から14年間、ブラジルのリオデジャネイロに遷都していた時期がありました。その後、ナポレオンが倒れたのち、リスボンに国王が戻り、その余波の中で1822年、ブラジルが独立を果たしました。その独立100年を機に工事が始まり、1931年に高さ38メートルのキリスト像が建てられました。

その威容は、リオの人々の心の拠り所であり、世界中の訪問客で溢れかえっています。もとより巨像には、奈良の大仏さまと同様、宗教の垣根を越えて、人々の心をつなぐ役割があるように思われます。祈りにおいて、皆が一つになれるからです。

祈りの内容は十人十色ながら、冒頭の「フランシスコの平和への祈り」は、「慰められるよりも慰め、理解されるより理解し、愛されるよりも愛することを求めさせてください」と続きます。そして結句では「与えることで人は受け取り、忘れられることで人は見出し、許すことで人は許され、死ぬことで人は永遠の命に復活する」と結ばれます[*] 。

まさに「愛されるよりも愛すること」「許すことで許されること」にこそ、平和への道があるように思います。そして言葉の上だけではなく、人々の行為がその種となることで、キリストや仏陀の心とも一体となれるように思うのです。

巨像には、自らが平和の種となれることを示し、光となれること(自灯明)へと導く道としての力があるように思われます。

 

巨像の道(グレイトブッダロード)

さて、リオ州立大学での特別講義のテーマは、昨年のシカゴ大学での講義と同様、盧舎那大仏が伝来した「シルクロード叡智の道」についてでした。

アジアの巨像を含む石窟仏教寺院の伝統は、1世紀頃のバーミアン(バクトリア地方)からカシュガルへと抜け、タクラマカン砂漠とタリム盆地の上方を西へ進む天山南路を、クチャ(キジル) 経由で、トルファンに至り、敦煌、雲崗、龍門において開花しました。その西域からの伝統が、唐王朝のときに奈良へと繋がった道を「叡智の道」として紹介しました。

もとより大仏さま造立の背景にある叡智とは、華厳の教えが説く「皆がひとつ」であり、「誰もがかけがえのない華である」というものです。その華厳の心を、「日本月間」を飾るオープニングのレクチャーにおいて、大仏さまや伎楽面の映像作品を通して訴えさせていただきました。イラン出身の移住者の女性からは、「皆がひとつであり、それぞれが多様な華であること」はブラジルの心と同じであり、大いに賛同いただきました。

またリオ州立大学での講義は、ブラジルの若者たちに、予想以上に支持される好結果となりました。1400年前の多文化主義を体現したかのような東大寺の伎楽面・春日大社の舞楽面は、500年以上かけて、ブラジル文化に花開いた多民族主義と重なり合う部分があるためか、1時間半の講義の後は、1時間以上も学生たちと懇談をしました。

盧舎那大仏を「日本の復興の象徴」として紹介するSegundo Caderno紙 (2018.7.4)

聖徳太子が思いみた「和」の心を体現する伎楽面や舞楽面。そして聖武天皇が生きとしいけるものすべての幸せを願って、延べ260万人の国民とともに造立した大仏さま。この夏は、国策として多様性と包容性を掲げるカナダからブラジルへ渡航し、二つの多文化主義の国々で、実に多くの方々にご賛同いただいた体験が、かけがえのない収穫となりました。

この後「光と希望のみち」展は、「日墨外交関係樹立130周年」を記念してメキシコシティを訪れる予定です。

奈良の人類遺産の普遍的な訴求力を通して、平和への祈りの道であり、叡智の道を、引き続き世界に発信していきたいと改めて強く誓う次第です。

さまざまなご支援を与えてくださった関係各位の皆様のご尽力には、心から感謝申し上げ、 平和への祈りを込めて、残暑のご挨拶に代えさせていただきます。

2017年8月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ

Text by Miro Ito/Media Art League. All Rights Reserved.

注[*] Wikipediaより抜粋

【第9回】伊藤みろ発:メディア=アート+メッセージ No.8「伎楽の夢:大きく ゆっくり 遠くをみる」

2018-01-01

Gigaku Mask (Karua), 17th century (Photo by Miro Ito)

 

2017年は、世界の分断化がさらに進んだ年でした。

世界が一つにならなければ、明るい未来は、私たちを待ってくれません。

差別や敵愾心、憎悪や恐れが引き起こす紛争に次ぐ紛争の中に、平和への夢ははかなくも消え去ってしまいます。

そんな中、私たちひとりひとりが世界の一体性のために貢献できるという意識や理想を鼓舞していかなければなりません。そうした思いから、私は昨年、「ユニバーサリティ」や「ユニバーサリズム」をキーワードに、名門シカゴ大学やデポール大学で、アメリカの学生たちに東大寺の天平彫刻に託された「東西の叡智の道」について語らせていただきました。

「ユニバーサリズム」とは、宗教的な意味では「万人救済」の思想です。広義では、すべてが一つであるという普遍的な理念を元に、お互いの差異を認め合い、尊重し合う理想といえます。

この理念を端的に示しているのが、1400年以上前に日本に伝来した伎楽や舞楽などの、シルクロードの芸能です。聖徳太子が奨励したといわれるのも、伎楽や舞楽の中に、異質な文化が豊かに共存しているからです。まさにアートの中に体現された「和」の心であり、ユニバーサリズムの粋といえるのです。

 

伎楽、舞楽とは

芸能として滅びてしまった伎楽は、ギリシア仮面劇を起源とするユーラシア最古の仮面劇といわれます。552年の仏教伝搬の頃、日本に伝来し、奈良時代以来、仏教行事として法隆寺や東大寺、西大寺、興福寺などで奉納され、仏教の興隆に大きく貢献したといわれます。その表情豊かな見事なフォルムの仮面群は、雄大なシルクロードの東西の交流史を今日に伝えるものです。

一方、海のシルクロード諸国の王朝芸能を集成させた舞楽は、宮中の芸能として、外国からの来賓への祝宴の場や、国家的な祭礼の際に演じられてきました。奈良時代より三方楽所(朝廷・南都・四天王寺)において伝承され、1500年の伝統を今日まで伝えています。

 

伎楽、舞楽が語るもの

一昨年の5月からNY国連本部で始まった世界巡回展「光と希望のみち(Road of Light and Hope)」は、共催者である日本カメラ財団と外務省のご支援を得て、ウズベキスタン芸術アカデミーやストラスブール欧州評議会・欧州の広場、トロント国際交流基金、シカゴ日本広報文化センターで開催してまいりました。東大寺の伎楽面や春日大社の舞楽面は、その魅力あふれるエネルギッシュな造形表現により、感嘆を以って迎えられました。

注目された点は、長く大きな鼻や皺で歪んだ顔、豊かな喜怒哀楽の表情も、それぞれの個性として、誇らしげに最大限に強調された顔だちです。それぞれのキャラクターが違った個性を持っていることにこそ、価値が見出せるのです。そのことで、世界がいかに豊かになっているかということに、仮面を通して、改めて気づかされるのです。

ちなみに胡国と呼ばれた「ゾグド国」は現在のウズベキスタンに当たる地域です。ウズベキスタンでは、4つのテレビ局のインタビュー取材を受け、メディアで広く報じられました。私が答えたのは、以下のポイントです。

ー伎楽がシルクロード伝来の1400年以上前の造形であること。

ー仮面が日本にしか残されていないのは、日本が歴史的に他国の侵略を受けなかったこと。

ー皆が同じであるという一体性の意識を訴求するものであること。

ー多民族や異なる宗教をつなぐ答えが秘められていること。

 

伎楽はまさにシルクロードの縮図であり、世界の縮図なのです。

実際、文明の十字路といわれるウズベキスタンは、まさに人種や民族のクロスロードであり、一人一人の顔立ちが異なる人種の混合で、人種のるつぼの感がありました。アレクサンダー大王の東方遠征にともなったギリシア人入植以来、2300年以上の時をかけて、さまざまな民族が豊かに共存する姿に、伎楽の精神を見る思いがしました。

 

伎楽との出合い

さて、伎楽との出合いは、私自身がNYで遭遇した9.11の翌年の夏でした。シルクロードをテーマにヨーヨー・マがプロデュースした「スミソニアン・フォークロア・フェスティバル」( ワシントンDC)において、伎楽を復元した故・五世野村万之丞(本名:耕介)氏の「楽劇 真伎楽」と邂逅したのです。

その2年後に、野村氏は44歳の若さで逝去し、私はその間、アメリカから帰国する度に撮影していた氏の作品群を、写真集『萬歳楽ー大きく ゆっくり 遠くを見る:野村万之丞作品写真集』( 日本カメラ社)として上梓しました。

その後、平城京遷都1300年を記念して、大仏開眼供養会(752年)で使われた天平時代の伎楽面(重要文化財)を、東大寺から特別の許可を得て、奈良国立博物館のご協力の下、撮らせていただきました。同年には春日大社の重要文化財である舞楽面も撮影させていただきました。

伎楽面や舞楽面を眺めていると、先人たちの思いと出合えます。東西の多彩な神々や民族の王者、仙人や実在の英雄たちが “キャラクター化” された姿は、まさにギリシア的なミニチュア版「パンテオン(万神殿)」さらながら、未来への答えが見えてくる気がいたします。

伎楽も、舞楽も、シルクロード伝来の平和の使節団だったのではないか、そんな思いと出合えるのです。

 

大きく ゆっくり 遠くを見る

新年には、世界の一体性への願いを託し、五世野村万之丞氏の「大きく ゆっくり 遠くを見る」という言葉を改めて思い出しました。五世万之丞氏は、死後に八世万蔵を追贈されましたが、その野村万蔵家の家訓だそうです。

「大きく ゆっくり 遠くを見る」ことで、現在の私たちの立ち位置も変わってくるのではないでしょうか。環境問題にしろ、世界中のさまざまな紛争にしろ、未来と過去を自由に往来できる視座を身につけることで、解決に向けた意識が育まれるはずです。

伎楽面や舞楽面は “時の行者”として、そのことを教えてくれるのです。

そして「大きく ゆっくり 遠くを見る」視座には、世界への答えがあるということも____。

 

2018年正月、平和への魂からの願いをこめて

伊藤みろ メディアアートリーグ代表

(※写真は、正倉院の伎楽面が復元された江戸初期のもので、高松の旧家に所蔵されていたものです。)

(C) Text and Photo by Miro Ito / Media Art League. All Rights Reserved.

【第6回】伊藤みろ発:メディア=アート+メッセージ No.4「聖徳太子と聖武天皇が示された心の道」

2017-04-28

「道」としての心

国際交流基金トロント日本文化センターでの展示会「光と希望のみち:東大寺の国宝写真展」(6月28日まで) が始まって1ヶ月余が経過しました。来月5月26日には、同センターの招待により、トロントで講演会を予定しています。私が制作した二つのショートムービー「伎楽 仮面の道」ならびに「盧舎那仏 光の道」」を上映し、聖徳太子と聖武天皇について、お話したいと考えています。

もとより、ニューヨークで体験した9.11以来、私が取り組んでいるのは、聖徳太子と聖武天皇のご功績であり、シルクロード伝来の有形無形の精神遺産です。

仏教は、欽明天皇の時代、552年に百済から伝来しました。仏教を王朝として最初に公認したのは、息子の用命天皇であり、さらに孫の聖徳太子によって、仏教が興隆しました。太子は法隆寺や四天王寺を建立し、隋に独立国であることを宣言し、「和を以って貴しと為す」で始まる17条の憲法を制定された、日本の最初の聖人でした。そしてその100年後に、聖徳太子の偉業をもう一度復興させようとしたのが聖武天皇であり、墾田永年私財法の制定をはじめ、国分寺建立や大仏造立の詔を発令されました。鑑真和上を唐から招き、天皇として初めて出家され、娘の孝謙天皇に譲位後の752年、大仏が完成したことで、日本における神仏混交は一気に進み、明治維新まで1200年の間、続きました。

外来の教えである仏教を国教として導入され、「心のみち」を示された聖徳太子。度重なる天変地異で疲弊し尽くした国民を救済する、歴史的な復興事業として大仏を造立された聖武天皇。悟りを啓いた仏陀と呼応するものがお二人の中にあり、それは私たちの心の中にもあるのです。

「光と希望のみち:東大寺国宝写真展」では、聖徳太子の時代に伝来し、大仏開眼供養会でも大体的に舞われた伎楽面をはじめ、聖武天皇の偉大な遺産である東大寺の天平彫刻を紹介いたします。聖徳太子と聖武天皇における「心のみち」について、そしてシルクロードを経て奈良に遺されている、東西のつながりを示す「証拠」と連帯のヴィジョンについて、お話したいと思います。

5月26日(金)18:00~20:00
場所:国際交流基金トロント日本文化センター
講演者:伊藤みろ(言語:英語)
ショートムービー上映:
①「盧舎那仏 光の道 (大仏さまは生きている) 」
②「伎楽 仮面のみち」
(写真・文・監督=伊藤みろ、監修①=東大寺、監修②=笠置侃一、
音楽①=森永泰弘、音楽②=芝祐靖)
展覧会の詳細:http://jftor.org/event/national-treasures-of-todai-ji-temple/2017-03-15/

 

世界に対する答えとしての使命

右翼・排外主義的なポピュリズムが世界的な台頭を見せる中、心の働きを負の連鎖に向けるのか、あるいは希望のつながりに向けるか、その選択次第で、私たちの未来がいまや大きく左右される時代になりました。

世界の平和が脅かされる今日にあって、何ができるかと考えたとき、「すべてはひとつである」という意識から、時代に対する答えとしての使命が見えてくるはずです。

一体性とは何かを学ぶひとつのヒントとして、自然や宇宙を観察することがあります。それらのシステムが「全体」として完全な調和を保っていることを知るならば、一体性についての意識を高めることができます。自然界のすべてが個性を持ちつつ、同時に生きたシステムを生み出し、相互に関係をもって補い合い、生かし合っています。宇宙というひとつの体系の中で、星の運行も生命の誕生も、原子も五元素も、自然現象やエネルギーの変転も、動植物の生滅も鉱物も、すべてがつながっているのです。

こうした一体性の意識を土台に、使命としての「世界平和」を誓うことは、時代に対する責任として大きな意味を持ちます。そして平和を実現するためには、寛容や忍耐が求められます。それぞれが違っていても、皆同じだという認識をもつことが前提となります。すなわち姿形や、考えがそれぞれ違っていても、皆、同じ理想を持つことができるのです。

このことが、大仏造立の根幹にある華厳の教えの本質であり、1300年前に、国民が同じ理想を描くための歴史的アイコンとして、奈良の盧舎那大仏が誕生した背景といえます。またシルクロード諸国の芸能を集め、1400年前に日本に伝来した楽舞・伎楽も、文化や民族の多様性を伝える平和の使節団だったように思われます。

もとより大仏の起源も、伎楽面の起源も、2300年前のギリシア古典様式に遡ることができ、東西文化が土着の文化と交流・融合した結果が1400年前に日本に伝来して、今日まで残されているのです。

聖徳太子が奨励し、聖武天皇が実現した、文化の多様性の統合と心の連帯の豊かさ極まるビジョンを「証拠」として、「すべてはひとつであり、皆つながっている」というメッセージを展覧会を通して、世界の多くの国々で広く伝えたいと思います。
そしてそのことが、現代という時代へのお二人からの答えのように思われます。

2017年4月吉日

伊藤みろ メディアアートリーグ
http://mediaartleague.org

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