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メディアアートリーグ

【第9回】伊藤みろ発:メディア=アート+メッセージ No.8「伎楽の夢:大きく ゆっくり 遠くをみる」

2018-01-01

Gigaku Mask (Karua), 17th century (Photo by Miro Ito)

 

2017年は、世界の分断化がさらに進んだ年でした。

世界が一つにならなければ、明るい未来は、私たちを待ってくれません。

差別や敵愾心、憎悪や恐れが引き起こす紛争に次ぐ紛争の中に、平和への夢ははかなくも消え去ってしまいます。

そんな中、私たちひとりひとりが世界の一体性のために貢献できるという意識や理想を鼓舞していかなければなりません。そうした思いから、私は昨年、「ユニバーサリティ」や「ユニバーサリズム」をキーワードに、名門シカゴ大学やデポール大学で、アメリカの学生たちに東大寺の天平彫刻に託された「東西の叡智の道」について語らせていただきました。

「ユニバーサリズム」とは、宗教的な意味では「万人救済」の思想です。広義では、すべてが一つであるという普遍的な理念を元に、お互いの差異を認め合い、尊重し合う理想といえます。

この理念を端的に示しているのが、1400年以上前に日本に伝来した伎楽や舞楽などの、シルクロードの芸能です。聖徳太子が奨励したといわれるのも、伎楽や舞楽の中に、異質な文化が豊かに共存しているからです。まさにアートの中に体現された「和」の心であり、ユニバーサリズムの粋といえるのです。

 

伎楽、舞楽とは

芸能として滅びてしまった伎楽は、ギリシア仮面劇を起源とするユーラシア最古の仮面劇といわれます。552年の仏教伝搬の頃、日本に伝来し、奈良時代以来、仏教行事として法隆寺や東大寺、西大寺、興福寺などで奉納され、仏教の興隆に大きく貢献したといわれます。その表情豊かな見事なフォルムの仮面群は、雄大なシルクロードの東西の交流史を今日に伝えるものです。

一方、海のシルクロード諸国の王朝芸能を集成させた舞楽は、宮中の芸能として、外国からの来賓への祝宴の場や、国家的な祭礼の際に演じられてきました。奈良時代より三方楽所(朝廷・南都・四天王寺)において伝承され、1500年の伝統を今日まで伝えています。

 

伎楽、舞楽が語るもの

一昨年の5月からNY国連本部で始まった世界巡回展「光と希望のみち(Road of Light and Hope)」は、共催者である日本カメラ財団と外務省のご支援を得て、ウズベキスタン芸術アカデミーやストラスブール欧州評議会・欧州の広場、トロント国際交流基金、シカゴ日本広報文化センターで開催してまいりました。東大寺の伎楽面や春日大社の舞楽面は、その魅力あふれるエネルギッシュな造形表現により、感嘆を以って迎えられました。

注目された点は、長く大きな鼻や皺で歪んだ顔、豊かな喜怒哀楽の表情も、それぞれの個性として、誇らしげに最大限に強調された顔だちです。それぞれのキャラクターが違った個性を持っていることにこそ、価値が見出せるのです。そのことで、世界がいかに豊かになっているかということに、仮面を通して、改めて気づかされるのです。

ちなみに胡国と呼ばれた「ゾグド国」は現在のウズベキスタンに当たる地域です。ウズベキスタンでは、4つのテレビ局のインタビュー取材を受け、メディアで広く報じられました。私が答えたのは、以下のポイントです。

ー伎楽がシルクロード伝来の1400年以上前の造形であること。

ー仮面が日本にしか残されていないのは、日本が歴史的に他国の侵略を受けなかったこと。

ー皆が同じであるという一体性の意識を訴求するものであること。

ー多民族や異なる宗教をつなぐ答えが秘められていること。

 

伎楽はまさにシルクロードの縮図であり、世界の縮図なのです。

実際、文明の十字路といわれるウズベキスタンは、まさに人種や民族のクロスロードであり、一人一人の顔立ちが異なる人種の混合で、人種のるつぼの感がありました。アレクサンダー大王の東方遠征にともなったギリシア人入植以来、2300年以上の時をかけて、さまざまな民族が豊かに共存する姿に、伎楽の精神を見る思いがしました。

 

伎楽との出合い

さて、伎楽との出合いは、私自身がNYで遭遇した9.11の翌年の夏でした。シルクロードをテーマにヨーヨー・マがプロデュースした「スミソニアン・フォークロア・フェスティバル」( ワシントンDC)において、伎楽を復元した故・五世野村万之丞(本名:耕介)氏の「楽劇 真伎楽」と邂逅したのです。

その2年後に、野村氏は44歳の若さで逝去し、私はその間、アメリカから帰国する度に撮影していた氏の作品群を、写真集『萬歳楽ー大きく ゆっくり 遠くを見る:野村万之丞作品写真集』( 日本カメラ社)として上梓しました。

その後、平城京遷都1300年を記念して、大仏開眼供養会(752年)で使われた天平時代の伎楽面(重要文化財)を、東大寺から特別の許可を得て、奈良国立博物館のご協力の下、撮らせていただきました。同年には春日大社の重要文化財である舞楽面も撮影させていただきました。

伎楽面や舞楽面を眺めていると、先人たちの思いと出合えます。東西の多彩な神々や民族の王者、仙人や実在の英雄たちが “キャラクター化” された姿は、まさにギリシア的なミニチュア版「パンテオン(万神殿)」さらながら、未来への答えが見えてくる気がいたします。

伎楽も、舞楽も、シルクロード伝来の平和の使節団だったのではないか、そんな思いと出合えるのです。

 

大きく ゆっくり 遠くを見る

新年には、世界の一体性への願いを託し、五世野村万之丞氏の「大きく ゆっくり 遠くを見る」という言葉を改めて思い出しました。五世万之丞氏は、死後に八世万蔵を追贈されましたが、その野村万蔵家の家訓だそうです。

「大きく ゆっくり 遠くを見る」ことで、現在の私たちの立ち位置も変わってくるのではないでしょうか。環境問題にしろ、世界中のさまざまな紛争にしろ、未来と過去を自由に往来できる視座を身につけることで、解決に向けた意識が育まれるはずです。

伎楽面や舞楽面は “時の行者”として、そのことを教えてくれるのです。

そして「大きく ゆっくり 遠くを見る」視座には、世界への答えがあるということも____。

 

2018年正月、平和への魂からの願いをこめて

伊藤みろ メディアアートリーグ代表

(※写真は、正倉院の伎楽面が復元された江戸初期のもので、高松の旧家に所蔵されていたものです。)

(C) Text and Photo by Miro Ito / Media Art League. All Rights Reserved.

【第7回】伊藤みろ発:メディア=アート+メッセージ No.6「宇宙という”生命”への思いと東西の叡智」

2017-08-04

写真:「東大寺の国宝写真展」よりー蓮弁毛彫「蓮華蔵世界図」(左)、「不空羂索観音立像」(中)、国際交流基金トロント日本文化センター(右)(撮影協力:東大寺)

 

宇宙という”生命”への思いと東西の叡智

生命の力は、宇宙を浸透する海のように尽きることなく、人間の行動を超越して流れ続けています。私たちは、その生命の大海原に棲む魚のような存在といえ、その源から生命を受け取り、成長し、次世代へと引き継ぎ、消滅しては循環しているといえます。

遥か2500年前に、悟りを啓いたブッダは、世界を絶え間なく変転する海として描き、そこに咲く蓮華の花に例えました。蓮華の花状の「世界海」は、「一切香水海」という海原に咲き、幾重もの無数の風輪(大気)に支えられています。それがさらに上へと重ねられ、如来の教えが遍く十方を照らす一つの銀河系のような単位の宇宙を構成する様は、東大寺盧舎那大仏の7枚の蓮華座に「蓮華蔵世界図」として、1300年前に掘られました。

7枚の蓮弁の中央には、それぞれ左右7対の蓮弁をもつ巨大な蓮華が表され、それぞれの請花には、また同じ宇宙系の図柄が描かれており、大宇宙のなかに小宇宙が同時に共存する「入れ子構造」になっています。

大仏さま造立の根幹にある華厳経では「極微の世界のなかに極大の世界が含まれる」ことを説いていること、また7という数字は、インドでは無限を表す聖数とされることから、蓮弁の毛彫図は、際限なき宇宙の成り立ちと広がりを図像化させたものだと考えられています(*)。

さて、大仏さまの蓮華蔵世界図で描かれるこうした宇宙の構造が、1300年前の古代に日本に伝えられていたことは、驚嘆に値します。

宇宙がインフレーションで膨張するとき、同時に収縮する中心部の母宇宙のワームホールから子宇宙がうまれる、という現代のインフレーション理論とも共通しています。さらに現代では、遠大な宇宙自体の生命論が語られるようになってきています。

 

すべてに神性・仏性をみる

いっぽう宇宙は想像がつかない規模のものですが、同様に、わたしたちの身体は宇宙の縮図であり、小さな私たちの細胞のなかにも大きな宇宙があると考えるとき、宇宙とのつながりを、身近に感じることができるのではないでしょうか。

こうした思いに気づくとき、私たちには、二つの選択肢があります。ひとつは私たちを支えている地球を含む宇宙を、わが「生命」と思い、敬い、協調して生きるのか。もうひとつは、地球を「資源」と思い、搾取し、汚染し、破壊していくのか。破壊的な行動とは、いうまでもなく、地球に不調和をもたらして、生命の流れをせき止める選択をすることです。

私たちは、大自然や身近な環境の中で、すべてに神性や仏性が宿るという、東洋古来の思想に戻り、宇宙の生命の流れと一体化する体験を取り戻すことが、いままさに必要なことのように思えます。こうしたことで、環境保全や地球温暖化への問題意識も芽生えてくるのではないでしょうか。

 

トロント東大寺国宝写真展、無事終了

3月15日から始まった国際交流基金トロント日本文化センターでの展覧会「Road of Light and Hope: National Treasures of Todaiji Temple, Nara (光と希望のみち:奈良・東大寺の国宝写真展)」が6月28日に無事に終了しました。

東大寺の特別協力により、国際交流基金トロント、日本カメラ財団、メディアアートリーグの共催で実現した同展で、私が訴えかけたかったことは、もとよりこうした古代の叡智のもつ普遍性です。

蓮華蔵世界図(大仏蓮弁毛彫図)に描かれた、壮大な宇宙の入れ子構造がインド的な宇宙観を反映させたものであるならば、華厳経で説かれる「一が多であり、多が一である」教えは、古代ギリシア哲学(プロティノス)の思想とも共通するものです。すなわち生命の「一体性」という叡智の伝統です。

シルクロード伝来の、こうした東西を貫く叡智の伝統を、宇宙的な規模で作品化したものが盧舎那大仏の蓮華蔵世界なのです。

去る5月26日の講演会&映像作品上映会には、定員80名の会場はほぼ満席の盛況となり、ショートムービー「盧舎那仏の光の道」など3作品を上映し、「すべてが一つであり、つながっている」という叡智から、いまわたしたちが、時空を超えて1300年前の平城京の精神遺産から学べることを、カナダの人々にお話できました。

そして戒壇院四天王像や日光・月光菩薩、法華堂の御本尊である不空羂索観音をはじめ、東大寺の天平彫刻の傑作に、トロントの人々に、写真作品を通して触れていただきました。

天平彫刻における東西文化の交流と融合も、「光と希望のみち」の重要なテーマです。ご来場いただいた方々にとって、1300年前の日本の彫刻作品が西洋文化と共通の起源をもち、身近に感じられた機会になったことを、心から願う次第です。そして本物を見るために、東大寺をはじめとする、奈良の世界遺産の社寺へと、カナダの人々がいずれ訪れる機会に結びつくことを願って止みません。

こうしたシルクロードの叡智をテーマに、世界の平和に役立てたく、世界巡回展「光と希望のみち」と同名の映像作品を現在企画中です。ぜひ多くの方々にご一緒いただけたらと切に願う次第です。

NY国連本部から始まり、ウズベキスタン芸術アカデミー、欧州評議会を経て、このたびトロントで開催された世界巡回展「光と希望のみち」でお世話になった、すべての関係者各位に、今一度心から厚く御礼申し上げるとともに、引き続きご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

2017年8月吉日 東京より

 

伊藤みろ メディアアートリーグ代表

Text and Photos by Miro Ito (All Rights Reserved.)

(*) 参考文献:森本公誠著『世界に開け華厳の花』(春秋社)

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