【24回】MIRO ITO発 メディア=アート+メッセージ No.23: 分断化の時代に 時を超える東西のつながりの叡智を感じ取る聖地 奈良の三都物語

復原大極殿(2010年)平城宮跡歴史公園(Photo by Miro Ito)

 

8月6日から、年5回の講演シリーズ「古代奈良 三都物語:飛鳥京・藤原京・平城京」が平城宮跡歴史公園・天平みつき館にて始まり、毎回「語り手」として登壇いたします。

これまで奈良をテーマに作らせていただいた映像詩を上映しながら、私が愛してやまない奈良の有形無形の文化遺産を紹介しながら、1400年の精神文化について、語らせていただく予定です。

 

国のまほろば 東アジアの文化遺産の宝庫

私がなぜ古代の奈良に惹かれるかというと、紛れもない聖地であるからです。

「聖なるもの」とは、月や太陽をはじめとする星々であり、森羅万象から山や川、草木、岩や石に至るまで、いたるところで示現する、神々の鼓動であり、霊気であり、清らかな場の力です。

倭(やまと)は 国の真秀(まほ)ろば 畳(たたな)づく 青垣(あをかき) 山籠(やまこ)もれる 倭しうるわし(倭建命『古事記』)

奈良は神仏習合の霊場であり、有形無形の世界的な文化遺産と自然遺産が、1400年以上の時を超えて、豊かに同居しています。

国の「まほろば(素晴らしい場所)」であるだけでなく、シルクロード東の終着点であるため、ユーラシアの歴史の光芒とともに息づく、東アジアの文化遺産の宝庫のなのです。

 

飛鳥京跡(Photo by Miro Ito)

国家のはじまりの地 飛鳥

日本国家の揺籃期に当たる飛鳥・藤原に宮都が置かれた飛鳥時代(6世紀末から8世紀初め頃)は、大きな変革の時代でした。

6世紀半ば頃の百済経由での仏教伝来とともに、東アジアの先進文化がもたらされました。そして政治面では、国際交流が始まり、中国の官位制や律令制がもたらされ、今日に続く国家の基盤が作られました。

この時代に惹かれるのは、平安時代中期以降に国風文化が誕生する以前の、遥かギリシアやペルシアに遡る、ユーラシア大陸由来の、多彩な国際性豊かな文化の脈絡が感じ取れるからです。

とりわけ飛鳥時代の文化は、思想・宗教・技術・美術などの先進文化や政治制度をはじめ、渡来文化を抜きにしては語ることができません。

飛鳥は、古代の東西文化交流の証である文物と触れることのできる、日本文化の形成の地であり、シルクロードの眩いばかりの芸術遺産の宝庫といえます。

そして藤原の地において、対外的に国号が日本となって、律令国家体制が確立に近づいていきました。

 

藤原宮跡(Photo by Miro Ito)

 

️第一回目は、8月6日(日) 13時〜14時(第一部)

初回の映像詩の上映は、新作「飛鳥・藤原 律令国家のはじまり〜仏教文化の開花をたどる」(2022年度奈良県観光局委託作品)の発表を兼ねて、日本の最初の都である飛鳥から藤原(新益京)について、お話をさせていただきます。

第二部では「万葉の情景・恋愛の伝道」と題して、平城京歌姫・蓮女の皆さんによる女声合唱(14時10分〜30分)をお楽しみいただけます。

 

復原遣唐使船 平城宮跡歴史公園(Photo by Miro Ito)

 

奈良から語る未来へのメッセージを5回に分けて

第2回目では、2024年に生誕1450年を迎える聖徳太子について、映像詩「世界史の中の聖徳太子 煌めく叡智と美意識」(2021年度奈良県観光局委託作品)を上映し、法隆寺を中心に、中宮寺、法輪寺、法起寺、飛鳥寺、橘寺のご協力のもと、国際交流の先鞭をつけた聖徳太子の功績を紹介します。

第3回目では、2020年度の文化庁クラスター事業作品「いまに生きる奈良 シルクロード東の終着点 1400年の精神文化の回廊」(製作:いかす・なら地域協議会)を上映いたします。

同作品の英語版は、昨秋の日中国交正常化50周年事業「日中交流の2000年 アジアをつなぐ美と精神」展(奈良県と中国清華大学の共催)にて、同大学芸術博物館でも会場で上映され、ご好評をいただきました。

第4回目では、シルクロード伝来の芸能「伎楽」や「舞楽」について、東大寺や春日大社からご協力いただいた映像作品をもとに、お話しさせていただきます。

 

最終回となる第5回目では、奈良を代表する四天王像を紹介する映像作品「崇高なる勇姿の極み 国宝四天王像 天平から鎌倉へ 東大寺〜唐招提寺〜大安寺〜興福寺」(2020年度奈良県観光局委託作品)を上映いたします。奈良の四天王について、美術史的な解説を行わせていただきます。

奈良は、不透明な世界情勢や気候変動に揺れる多難な時代にあって、立ち戻りたい聖地といえ、学ぶべき叡智と東西交流の証があります。

同講演シリーズならびに映像作品の制作・発表に至るまで、奈良の多くの方々にお力添えをいただきましたことを心から感謝いたしつつ、夏・秋・冬の平城宮跡まで、ご来場をいただけたら、大変幸せに思います。

令和5年8月1日

MIRO ITO 伊藤みろ

■ 事前予約は以下、平城宮跡歴史公園朱雀門広場イベントページまで https://suzakumon-heijokyo.com/news/16948/

第一回(8月6日)と第二回(9月10日)の講演では、事前にお申し込みいただいた先着50名様限定にて、竹製ミニチュア遣唐使船pop-upカードを贈呈いたします。

竹製遣唐使船ポップアップカード

■ 2回目以降のスケジュールは
9月10日(日)
10月14日(土)
2024年以降
1月14日(日)
2月11日(日)

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